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統計学入門 第5章 確率変数

Posted on Aug 8, 2017

nownab.log | 統計学入門 第4章 確率

統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)

  • 東京大学教養学部統計学教室
  • 東京大学出版会

機械学習勉強会として今は統計学入門をやっている。 週一でやっていて、今週から輪読形式で進めてみることになった。

また、勉強会で書いたコードや疑問点などをまとめるためにGitHubのレポジトリを活用している。 https://github.com/Wondershake/ml-statistics-intro

今回の内容

第5章 確率変数

5.1 確率変数と確率分布

  • 乱数 (random number, random digits): 起こる確率が等しいことが理論的に保証されている0から9までの数字
  • 確率変数 (random variable): それがとる各値に対してそれぞれ確率が与えられている変数
  • 離散型 (discrete type): 可算集合 $\{x_1, x_2, \dots\}$の中の値をとる確率変数
  • 確率分布 (probability distribution)
    • 確率変数$X$があるとき、$P(X=x_k) = f(x_k)$ で表される$f$を確率分布という
    • $f(x_k) \geq 0, (k=1, 2, \dots) かつ \sum_k f(x_k) = 1$を満たす
    • 離散型の確率分布 (p. d. of discrete type)
  • 連続型 (continuous type)
    • 連続値をとる確率変数
    • $P(a\geq X \geq b) = \int_a^bf(x)dx$で表される
    • ただし、$すべてのxに対しf(x)\geq 0 かつ \int_{-\infty}^\infty f(x)dx=1$を満たす
    • $f(x)$を$X$の**確率密度関数 (probability density function)**という
    • ある一点の確率は$P(X=a) = 0$となる
  • 指数分布 (exponential distribution)
    • $x\geq 0$のとき$f(x)=\lambda e^{-\lambda x}$、$x < 0$のとき$f(x) = 0$
    • 待ち時間は指数分布に従う
      • ある災害が起こってから次の災害が起こるまでの時間$X$や、電球が偶発的に切れるまでの寿命$X$など
  • 一様分布 (uniform distribution)
    • $0 \leq x \leq 1$のとき$f(x)=1$, それ以外のとき$f(x)=0$
    • 区間$[0, 1]$の任意の値を等しくとる一様乱数 (uniform random number)
  • 累積分布関数 (cumulative distribution function)
    • 確率変数$X$に対して$X$が$x$以下の確率
    • $F(x)=P(X\leq x)$
    • $F(x)=\int_{-\infty}^x f(u) du$
    • $F'(x)=f(x)$
    • 離散型の場合は$F(x)=\sum_{u\leq x}f(u)$
    • 常に次の3つの性質をもつ
      • 広義単調増加: $x_1 < x_2$ならば$F(x_1) \leq F(x_2)$
      • 範囲: $x \rightarrow \infty$のとき$F(x)\rightarrow 1$、$x\rightarrow -\infty$のとき$F(x)\rightarrow 0$
      • 右連続: 各点$x$で$\varepsilon\downarrow 0$のとき$F(x+\varepsilon)\rightarrow F(x)$
  • モード (mode): $f(x)$を最大にする$x=x_0$
  • メディアン (median): $P(X\leq x_m)=\frac{1}{2}$となる$x_m$

5.2 確率変数の期待値と分散

  • 期待値 (expectation)
    • 平均、重心
    • 確率変数$X$の期待値を$E(X)$と書く
    • 離散型のとき、$E(X)=\sum_x xf(x)$
    • 連続型のとき、$E(X)=\int_{-\infty}^\infty xf(x) dx$
    • $E(X)=\mu$で表すこともある
  • $X$の関数$\phi(X)$に対する期待値の定義
    • $E(\phi(X))=\sum_x \phi(x)f(x)$
    • $E(\phi(X))=\int_{-\infty}^\infty \phi(x)f(x) dx$
  • 期待値の演算の性質
    • $E(c)=c$
    • $E(X+c)=E(X)+c$
    • $E(cX)=cE(X)$
    • $E(X+Y)=E(X)+E(Y)$
  • 分散 (variance)
    • ばらつき具合
    • 確率変数$X$の分散を$V(X)$と書く
    • $V(X)=E((X-\mu)^2)=E(X^2)-(E(X))^2$
    • 離散型のとき、$V(X)=\sum_x (x-\mu)^2f(x)$
    • 連続型のとき、$V(X)=\int_{-\infty}^\infty (x-\mu)^2f(x) dx$
    • $V(X)=E(X^2)-(E(X))^2$
    • $\sigma^2$と表すことが多い
  • 標準偏差 (standard deviation)
    • 分散の平方根 $D(X)=\sqrt{V(X)}$
    • $\sigma$と表すことが多い
  • 分散の演算の性質
    • $V(c)=0$
    • $V(X+c)=V(X)$
    • $V(cX)=c^2V(X)$
  • 標準化
    • $Z=\frac{X-E(X)}{\sqrt{V(X)}}$とすると期待値と分散の性質から
    • $E(Z)=0$
    • $V(Z)=1$
    • この変換を標準化といい、$Z$を標準化変数という

5.3 モーメントとモーメント母関数

  • 歪度 (skewness)
    • 歪度係数とも
    • 確率分布の非対称性の指標
    • $\alpha_3 = \frac{E((X-\mu)^3)}{\sigma^3}$
    • $\alpha_3>0$ならば右の裾が長い
    • $\alpha_3<0$ならば左の裾が長い
    • $|\alpha_3|$が程度を表す
    • $\beta_3$と書くこともある
  • 尖度 (kurtosis)
    • 超過係数 (coefficient of excess)
    • $\alpha_4=\frac{E((X-\mu)^4)}{\sigma^4}$としたとき、$\alpha_4-3$のことをいう
    • 正規分布は$\alpha_4=3$
    • $\alpha_4 >3$なら正規分布より尖っている
    • $\alpha_4 < 3$なら正規分布より丸い
    • $\beta_4$と書くこともある
  • モーメント (moment)
    • 積率ともいう
    • $\mu_r=E(X^r)$: $X$の(原点のまわりの)$r$次のモーメント
    • $\mu'_r=E((X-\mu)^r)$: $X$の期待値のまわりの$r$次のモーメント
    • $\alpha_r=E(\{\frac{X-\mu}{\sigma}\}^r)$: $X$の$r$次の標準化モーメント
  • モーメント母関数 (moment generating function)
    • すべての次数のモーメントを生成する
    • すべての次数のモーメントが決まれば確率分布は一意に定まる
    • $M_X(t)=E(e^{tX})$
    • 離散型: $M_X(t)=\sum_xe^{tx}f(x)$
    • 連続型: $M_X(t)=\int_{-\infty}^\infty e^{tx}f(x)dx$
    • $M_X^{(r)}(0)=\mu_r$: モーメント母関数の$r$階導関数から$r$次のモーメントが求まる

5.4 チェビシェフの不等式

  • チェビシェフの不等式 (Chebyshev’s inequality)
    • いかなる確率変数$X$に対しても$P(|X-\mu|\geq k\sigma)\leq\frac{1}{k^2}, ;(k>0)$が成り立つ
    • 確率分布がわからなくても、 期待値と分散さえわかれば確率の値が不等式で得られる

5.5 確率変数の変換

練習問題

https://github.com/Wondershake/ml-statistics-intro/issues/8

所感

  • 自分でちゃんと読んでるからか、教科書がいいのか、昔より理解できてる気がする
  • 輪読形式はただのもくもくより負荷は強くなるが、その分力にはなってる感じがあるので良い 💪

次回

第6章 確率分布

https://github.com/Wondershake/ml-statistics-intro/issues/12