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勉強を続ける技術

Posted on Sep 25, 2021

はじめに

継続も勉強も苦手な自分が英語の勉強を毎日1年以上続けられているので、そのためにやったことを紹介します。

今まで何度も何度も三日坊主を経験してきましたが、意外と小手先のテクニックを駆使して続けることができています。 同じように何かを続けようとして失敗している人の参考になれば幸いです。

もちろんこんなことをしなくても継続できる人はいると思います。 僕のような意志が弱く継続が苦手でだらしない人間が、なんとか継続するためにやった工夫として読んでください。

また、この記事では続けるということに焦点を当てます。 特に、毎日何かをやり続けるということが話の中心になります。 英語の上達や目標の達成や何かをやり抜くということはスコープ外になります。

きっかけと結果

まず英語を勉強しようと思ったきっかけは、Google に入社して今以上にパフォーマンスを発揮するためには英語が必要と感じたことです。 それまで何度も英語を勉強しようと思ったことはあるものの続いたことはありませんでした。 そのため、今までどおりではいかん、ということでとにかく「続ける」ということを意識して勉強してみました。

結果として以下のようなものが得られました。

  • 567日連続での英語勉強
  • 毎日英語の勉強をするのが苦ではなくなって当たり前になった
  • 1日の平均勉強時間は47分
  • ほんのちょっと英語が上達した気がする
  • これからどういうプロセスを踏めば英語が上達しそうかちょっと見えてきた

自分にとって言語としての英語1は非常に苦手分野で、苦手意識も大きいし、何をどうすれば英語で読み書き聞く話すができるようになるのかさっぱりわかりませんでした。 まだまだ人並みにもなってないし、ここまで来るのに1年以上かかったのには才能ないなぁと感じますが、「どうすれば上達できるか」がぼんやりとでも見えてきたのは非常に大きい進歩だと思います。 継続は力なり、ですね。(まだ力にはなってない)

続ける技術

ここからは続けるために僕が実践してきた技術を紹介します。

目標設定

まず目標設定です。 何かを続けるためには「続ける」ことを目標にするといいです。

自分の英語勉強の目標は「毎日1分以上英語を勉強する」でした。

なぜこうしたかというと、次のような目標は上手く機能しないことが経験上わかっていたからです。

  • TOEIC xxx 点を取る
  • この本を一ヶ月で終わらせる
  • 毎日 xx ページ勉強する
  • 毎日1時間勉強する

なぜこういった目標がうまく機能しなかったかを考えた時、目標のハードルが高すぎたのではないかという結論に至りました。 ハードルが高いと飛び越えるために膨大な意志と集中力が必要です。 そして、ハードルが高いため失敗しやすく、1回でも失敗するとモチベーションが急低下して三日坊主に終わります。

なので目標は最低まで低くして、まずは続けるということに集中することにしました。 継続しないことにはTOEICの点も上がらないし一冊の本も読めないからです。

今でもこの目標設定は変えてませんが、新たな目標を追加したり、勉強量を増やしたりということはできています。 新しい目標は達成できなくても、この「毎日一分やればOK」というベースの目標がガードレール的に達成されるので気が楽です。

可視化

続けるという目標を設定した後すぐに可視化の仕組みを整えました。 目標が達成できているか確認できるし、達成感を得られるし、なにより綺麗に可視化されているとモチベーションに繋がります。

個人的に毎日の活動を可視化する最強ソリューションはGitHubの草2だったので、英語の勉強でも草を生やしたいと考えました。

実現にはGitHubと同じような芝生を育てられるPixelaというサービスを使っています。 Pixelaがなかったらここまで勉強を続けられていなかったと思います。 こんな感じのGitHubそっくりの芝生が作れます。

Pixela

Pixelaだけでは勉強時間の入力が難しいので、勉強時間の記録にはToggl Trackを使っています。 Togglはモバイルアプリもあるので手軽に勉強時間のトラッキングができます。

また、TogglとPixelaでデータを連携するためにGoogle CloudCloud FunctionsCloud Schedulerを使っています。TogglもPixelaもAPIがあるので簡単に連携できます。 READMEすら書いてませんがソースコードはこちらです。需要があれば整えます。

図にするとこんな感じです。ありがたいことにすべて無料で使わせてもらっています。

Function 1

始めてから一年以上経ちますが、いまだにしょっちゅう草を確認してモチベーションを維持しています。 芝生に穴を開けたくないがために毎日勉強しています。

監視される

「人に見られているとサボりにくいだろう」ということで勉強時間をTwitterに投稿するようにしました。

実際はこんなツイートをチェックする奇特な人はいないと思いますが、人に見られていると意識するだけでも多少の効果があります。 ツイッター以外でも、一緒に勉強してくれる人を探して進捗を確認し合う、進捗を管理してくれる教室に入会する、というのも効果的だと思います。

手動で勉強時間をツイートするのは面倒なので、上述のCloud FunctionでPixelaへのデータ投入と同時にツイートするようにしました。

Function 2

今はもう習慣化できているので、TLを荒らしがちなこの機能は停止しています。

お手軽ネタの用意

「毎日1分勉強する」をお手軽に達成するためのネタを複数用意しました。 これは、モチベーションがなくても時間がなくても「続ける」ための工夫です。

例えば、次のようなネタを準備していました。

  • 単語帳を必ず目に入る場所に置いておく
  • 英語学習のPodcastを登録しておく
  • 英語学習アプリをインストールしておく
  • LINEの英単語クイズbotを登録しておく

こういう手軽なネタを用意しておくことで手軽に「毎日1分勉強」が達成できます。 最低限の1分を達成するだけでも「失敗によるモチベーションの低下」という状況を防ぐことができるので重要になってきます。

ここで重要なことは、時・場所を選ばず、ハードルが最も低い方法を用意しておくことです。 上述の例だと、それぞれこのようなハードルを設定しておきます。

  • 単語帳は1単語でも読めばOK
  • Podcastはどこから初めてどこで終わってもOK
  • 英語学習アプリは1エピソードの一部でもやればOK
  • 英単語学習ボットは1単語でもクイズすればOK

例えば次のようなネタしかないと、ハードルが高くて毎日勉強を達成できない可能性が出てきます。

  • Netflixで海外ドラマを見る (まとまった時間が必要)
  • シャドーイングする (まとまった時間と音を聞けて声を出せる場所が必要)
  • 文法書を読む (ある程度まとまったかたまりで読まないと気持ち悪い)

上述の例でも単語帳、Podcast、アプリはほぼ問題ないのですが、状況によって時・場所を選ぶため単語クイズができるLINE botを作りました。

LINE bot

こちらのLINE botはGoogle Apps Scriptで実装しています。 テンプレートをコピーして、エンドポイントをLINE Developersで登録すれば使えると思います。

習慣に相乗りする

上述のお手軽ネタはあくまでも「続ける」ことを最低限続けるためのバックアップです。 お手軽ネタだけをこなしていても勉強としての効果は小さいです。

そこで、次はいかにして毎日の勉強時間を確保するかが重要になってきます。

時間を確保する最も簡単な方法は、既存の習慣に相乗りすることです。

通勤時間、歯磨き、お風呂、食事、などなんでもやりやすい習慣でいいと思います。

僕の場合は毎朝の犬の散歩に相乗りすることにしました。 毎朝散歩をしながらシャドーイングしたり、英語学習Podcastを聞いたりしていました。 そうすることでほぼ毎日30分は勉強時間を確保できました。

今はさらに増やして、次のような習慣で毎日勉強しています。

  • 毎朝の散歩でシャドーイングやリスニング
  • 朝・昼・晩、歯磨きしながら単語学習
  • 寝る前に文法学習
  • 20時〜21時は勉強時間

残業したり台風が来たり外出したりすると習慣が崩れてしまうこともあるので、そういうときはお手軽ネタでお茶を濁します。

適切な教材を選ぶ

難しすぎず、簡単すぎず、成長を実感できる教材を選ぶことも重要です。

成長の実感はモチベーション維持・向上に大きな効果があります。 モチベーションがあれば継続にも繋がり、さらに継続の先の目標達成にも繋がります。

教材が難しすぎると成長を実感するまでにモチベーションが下がってしまいます。 逆に簡単すぎると成長幅が小さくて実感できません。

適切な教材を選ぶには自分の今のレベルを知る必要があります。 客観的なテストがあるならそれを参考にしてもいいし、詳しい人にアドバイスをもらうのもありです。 自分で教材を見て選ぶ場合は、わかる部分もあるしわからない部分もある、ぐらいがいいと思います。

僕の場合は最初は高校生レベルの単語帳をメインの教材としていました。

残業しない

重要です。 残業すると時間とエネルギーを浪費してしまって勉強できません。

勉強してなくても当然ですが、極力効率良く仕事をこなしてだらだら仕事をしないようにする必要があります。

僕の場合はそれ以外に、残業時間帯に不必要なミーティングの招待がよく飛んできていたので、重要性の低いものは自動で辞退するような設定をしたりしました。 残業減らせねーよという方も諦めずに、残業を減らす仕組みを考えたり、誰かに相談したり、転職したりしてください。

いろいろ手は尽くしても残業が発生することはあると思いますが、そういうときはお手軽ネタでお茶を濁します。

時間の浪費からの脱出

おまけです。今までの方法からさらに勉強時間を増やすときのヒントになるかもしれません。

特に疲れているときとか、永遠にYouTubeを見続けたり、無限にソシャゲポチポチしてしまったりして時間を浪費してしまうことがあると思います。 そういう時間から脱出するためのスイッチ、トリガーを探しておくと勉強時間を増やすことができます。

僕の場合は色々試してみた結果、なぜかわかりませんが、「前頭前野頑張れ!前頭前野負けるな!」と前頭前野を応援するとだらだらから脱出できることがわかりました。 なので最近は勉強したいときには積極的に前頭前野を応援するようにしています。

ちなみに前頭前野は脳みその部位の名前で、人間の理性的な活動や、行動を切り替える機能を持っているそうです。 また、瞑想すると鍛えられるらしいです。

前頭前野はヒトをヒトたらしめ,思考や創造性を担う脳の最高中枢であると考えられている。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っている。また、高次な情動・動機づけ機能とそれに基づく意思決定過程も担っている。さらに社会的行動、葛藤の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能に関係している。 前頭前野 - 脳科学辞典

おわりに

最近は勉強を続けられるようになったので、新しく「アメリカで仕事できる英語力を身につける」という目標を持って勉強しています。 こういう目標を持てるようになったり、そのために何をすればいいか見当がついたりしたのも、ここまで続けてきたからこそだと思います。

継続することで初めて見える世界があるということがわかっただけでも続けてみた価値はありました。 何か目標がある人、逆に何かに行き詰まってる人、とりあえず何かを続けてみてはいかがでしょうか。


  1. テストとしての英語はクイズとしてある程度対策すればそこそこ点が取れるのでたちが悪い ↩︎

  2. 参考: 冴えない草(コントリビューション)の育てかた - Speaker Deck ↩︎